FC2ブログ

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

あなたがいたら ~5~ 

総帥と椿さんと別れて、あたしは望と共に牧野の家族と暮らす別宅へ向かった。

ただ、別宅と思ってるのはあたし達牧野家だけで、元々住み込みの使用人宿舎らしいこの家は、総帥と楓社長は家とは思ってないみたいだけどね。

それでも、あたしたちを迎え入れる為に急ピッチでリフォームしてくれた家は、これまで転々と住んできたどの家よりも住みやすくて居心地のよいものになっている。

パパとママは邸の住み込みの使用人をしている。
進は昼間はこっちのハイスクールに通い、帰宅してからは使用人として働いている。

日本人の使用人さんも多くいるし、英語が全く話せないパパとママもなんとかやれているのは、総帥の配慮のお陰だと思う。



「ただいまぁ。」



望を起こさないよう声のトーンをおさえて帰宅を告げる挨拶をすると、聞かなくてもみんな望が眠っているのだろうと察しがつく程に慣れ親しんだ生活となっていた。




つくし同様に、みんな声をおさえて帰宅した家族を迎え入れる。





「「「おかえり。」」」





一見和やかな家族の団欒のようだが、数時間後に迫った司の襲来を、みんな腹のうちでは戦々恐々と感じていた。




「望を部屋に寝かせてくるね。」







そう告げると、つくしは静かに階段を上ろうとした。

しかし、慌ててつくしを母である千恵子が呼び止めた。




「待って!今夜から地下室よ。」




「…!ああ、そうだったね。」




地下室で生活なんて気が滅入りそう……。

でも。これも総帥からの指示だから従わないわけにいかない。




何より望を守るためだ。







地下室といっても、キッチン、バス、トイレがついているし、各自の部屋もあるので何不自由ない生活をおくれるようになっている。




ただ一つ、気が滅入る原因は空が見えないこと……。





「今頃話してるんだろぅなぁ……あいつとの事。」





司の襲来にむけて外部から人が住んでいる事がばれないように、全ての窓は固くシャッターが閉じられている。どのみちこの地下室から夜空を眺める事は出来ないが、それでも先程までいた本宅の方を向いて呟いてしまう。


キリキリと胃に痛みを感じるのは、あいつが来るのが怖いから?



それとも……逢いたくないから?










でもね、逢いたい、逢いたいよ……あたしを愛してくれたあいつに……



ねぇ……あんたは今、何を想ってるの?










いつもは我が子の穏やかな寝顔を眺めると、心休まるというのに、今夜はちっとめ休まらない……。








スポンサーサイト

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。