Marry Me? ~29~
「で、おまえはどうなんだ?」
「え?わたし?」
道明寺は顎をしゃくって見せた。
つくしがその先を見ると、それはつくしの左手。
つくしがその先を見ると、それはつくしの左手。
「指輪してねぇし、港で話してた男以来ずっといないのか?」
つくしは、指輪が不在の左手に視線を落とした。
港へ行く前に指輪を外していたのだ。
外したのは司と決別する儀式をする為。
司の事を今も愛している牧野つくしとして行きたかったから、他の人から贈られた指輪を嵌めて行きたくなかったのだ。
外したのは司と決別する儀式をする為。
司の事を今も愛している牧野つくしとして行きたかったから、他の人から贈られた指輪を嵌めて行きたくなかったのだ。
外している事で、どうやら司はつくしの事をフリーだと勘違いしている。だったらこのまま黙っておこう。
今夜だけ、今夜だけでいいからこのまま夢を見させて。
今夜だけ、今夜だけでいいからこのまま夢を見させて。
「あー、付き合った人は何人かいたけどね…」
いたのかよ…。俺はなぜか心が痛んだ。
そりゃ普通に考えたらいるだろ。って思うのに、なんなんだろな、この痛みは
そりゃ普通に考えたらいるだろ。って思うのに、なんなんだろな、この痛みは
「けどなんだ?」
「付き合ってはみたよ。その方が忘れられるかなとも思ったしね。」
「でも…ダメだった。どんだけあたしの心に住みつき続けんのよって感じ。あいつ、すっごい執念深い男だったんだけど、あたしも十分負けてないみたい…フフフウウゥゥグスンゥゥー」
私は隣に座りじっと私を見つめる道明寺の視線を感じながら、なぜか涙が溢れてきた。
「笑って、笑い話にしたいのに…おかしいなぁ…どうして涙が出ちゃうんだろ」
手の甲でハラハラと流れ落ちる涙を拭っていると、ギュッと道明寺に両手首を掴まれた。
「無理して笑うな。心がさ、泣きたいって言ってんだよ。素直に泣かせてやれよ?」
そう言われ、私の涙腺は決壊した。
私だけに見せてくれてた優しい眼差し、甘い声、昔の道明寺が戻ってきたみたい
もう何がなんだか
なぜこんなに涙が出るのか
俺は無意識にこいつの後頭部に右手を回すと、俺の胸に引き寄せて抱きしめていた。
なぜだろう。
こんな事初めてした。
女なんて媚ばっか売ってくる生き物だから、女の涙なんて見ても何とも思ったことなかったってのに、只こいつの泣き顔を見てられなかった。
俺の胸で泣き続けるこの女を俺は、このままこうして閉じ込めておきたい。
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