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あなたがいたら ~6~ 

ある一本の電話がこの邸の使用人頭である老婆に緊張を与えた。


「そうですか…とうとうこんな日が来てしまったんですね。」


「タマ、おまえとの約束は必ず守るから大丈夫だ。」


「どうか…どうか、つくしと望坊ちゃんだけでなく、坊ちゃんの事も…どうかお願いします。」


「あぁ。あいつは俺の息子だからな。」


タマは、総帥である尊から司がニューヨークへ向かった報告を受けた。

いつかこんな日が訪れるだろうと覚悟していた。
だからつくしと望は総帥の元にいる。

本当は側で大きくなっていく胎児の成長を見守りたかった…

産まれてくる瞬間を、側で喜びたかった。

何より、坊ちゃんにそれを感じさせてあげたかった…

誰よりもあたたかな家族に憧れた寂しがり屋な坊ちゃんだから

そして、そんな坊ちゃんに出来た新たな家族なのだから…。

しかしそれが叶わなかったのはつくしと望の為…それよりも、いつか記憶を取り戻した時の司の為だった。


これ以上傷つけ傷つかないよう何も起きない事を願い、タマは二人を総帥と楓に託し、自らは司の側で見守る事を選んだのだ。


受話器を置いて タマはあの日の事を思い出した



RRRRR…

このディスプレイに表示される人物からの電話は、もう何度目になるだろう。
用件は解っている。それだけに電話に出る事を憂鬱に感じてしまう。そして、そんな事を感じる自分に自己嫌悪して通話ボタンを押すと、電話の用件は予想通り…


「全くあんたって子は、何度会いたいと呼んだって一向に顔を見せにきやしないつ!」


「それは…さすがに…いけないです…。」


その答えに、電話の向こうからフーっとタマの大きなため息が漏れ聞こえる。


「あたしゃね、あんたが坊ちゃんと別れた事でここに来辛い気持ちがわからなくもないんだよ。

でも…寂しいじゃないか?

あたしにとってあんたも坊ちゃん同様孫のようにかわいいんだ。」


「はい。…先輩の気持ち嬉しいんです。あたしもお会いしたいんですが…」


でも、あいつに又会って、あの瞳で睨まれたら…幸せだったあの時間も、確かに愛してくれたあいつも嘘だったんじゃないかってなってしまいそうで…

そんなあたしの心を察したのか、先輩がある事を告げた。


「明後日、坊ちゃんは幼馴染のあの坊ちゃん方と別荘へ行く事になってるから、安心して顔見せに来ておくれ?」


そんなに会いたがってくれるタマに、これ以上断り続ける事などつくしには出来なかった。
何よりつくしもタマの事を実の祖母のように思っていたので会いたかったのだ。

道明寺がいないなら…


「はい。あたしも先輩にお会いしたいので。」


「あぁ、楽しみに待ってるよ!」


タマはつくしと久しぶりに会える事をすごく喜び、二日後を楽しみに受話器を置いた。


二日後、あんな事が起きるなんて、誰に想像できただろう…



『旦那様、どうか三人をお守り下さい…』






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