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Love letter 後編1 

今にも雨が振り出しそうな暗くドンヨリとした空模様は、まるで二人の心情を如実に物語っているようだ。
つくしのどんどん遠ざかって行く後ろ姿を、司は何も出来ずに力なく呆然とみつめる事しか出来ずにいた。
そんな司の隣には、いつからいたのか類が立っていた。

「追いかけなくていいの?」

その声にチラリと視線だけ走らせ、司は再びつくしの後ろ姿に視線を戻した。

「ああ。」

「フーン…あいつ泣いてるんじゃない?」

“泣いてる”という言葉に眉間にしわがより、拳に力がこもる。そんな事他人である類に言われなくても解っているのだ。何より類に、いや類にだけはつくしの事を心配して欲しくなかった。
追いかけられないのは、つくしに拒絶されるのが怖いからだ。

「あいつが泣いてようが、おまえには関係ねぇだろ。」

「んん…なくはないよ。だってほら、元は俺が貰ったラブレターが発端なんだし。」

なんだよそれ。何がラブレターが発端なんだしだよ。おまえが何したか…そもそも類が…クソッ……
自らの愚かさを棚にあげて類を責める気持ちが沸き上がるが、結局今回の事は全て自分のせいだと思い直した。

しかしなぜ類がお節介とも言える行動をしてくるのか司は不思議に思った。類の表情は相変わらずのポーカーフェイスで、幼馴染みであるにも関わらず何を考えているのかわからないところがある。司は類の真意がはかりかねていた。

「おまえって他人の事気にするような奴だったか?」

「それはお互い様だろ?……フッそんなおまえがさ、最近はらしくもなく甲斐甲斐しい男だったろ?最初こそ驚いたけど、でもそれはあいつにだからなんだろ?」

「……。」

「面倒くさそうとも思うけどさ、ちょっとうらやましいって思ってた。
あいつの事本気なんだろ!」

「……。」

司は何も答えられなかった。
押し黙った司に、類は呆れたように溜め息をつくと続けて口を開いた。

「おまえの気持ちってそんなもんだったんだ。」

“そんなもん”?んなわけねぇだろ。そう強く思うというのに、司はそれを口にする事は出来なかった。
先程のつくしの衝撃に驚いた表情から、軽蔑されているだろうと司は感じた。
今更どの面さげて……
どうしたらいいのか司にはわからず、更に拳に力がこもった。

「司が行かないなら俺が行くよ?」

次の瞬間、一歩脚を踏み出し始めた類を押し退け全速力でつくしの後を追いかけた。

***
背後からものすごい圧を感じ、同時に聞き覚えのある声が耳に入った。誰なのかわからないわけがない。先程まで一緒にいた人物であり、少なくとも彼氏という存在だったのだから。

「ハーハーハー…待てよ!頼む。話を聞いてくれ。」

立ち止まろうか、つくしも走って逃げようか
と悩んだが、それは瞬時に判断がついた。
先程は驚きとショックから思わず逃げ出してしまったが、沸々と怒りがこみ上げて来て、なぜそんな事をしたのかと問いただしてやりたい衝動にかられていた。

「話?何で盗ったのかって?」

立ち止まり振り返ったつくしの顔は、先程までの今にも泣き出しそうな顔から一変して、鬼の形相に代わり声にも怒気がこもっていた。
初めてみるつくしの本気で怒りを露にしている姿を前にし、人に怒りをぶつけられる事などこれまで何度もあったというのに、初めて怯んでしまった。それほど彼女に睨まれる事が怖かった。
瞳を閉じ、大きく呼吸を整え再びつくしの大きくまっすぐな瞳をとらえると、司は努めて穏やかにすがるようにつくしに話しかけた。

「ああ。話を聞いてほしい。」

つくしがコクンと頷いたのを確認すると、司は言葉を選びながら口を開いた。

「あの日俺は、あいつらと帰るところだった。類が下駄箱から封筒を取り出して……」

「取り出して?」

中々続きを話さない司に業を煮やしたつくしが最速するように続きを促した。

「えっとよ……取り出した手紙を俺が預かって……」

「預かって?」

えっと…なんて言えばいいんだよ。
追いかけるのに必死で、何を言うかまで整理していなかった司は慌てた。丁度いいいいわけが浮かばず、けれどじっと自分をみつめるつくしの視線に堪えられず、司は仕方がなく意を決して思い浮かぶワードを口にした。

「返さなかった。」

え!?なにそれ……どういう事?返さなかったイコール盗ったって事?

「ああ、そういう事だ。」

どうやら頭の中だけで考えてたと思っていたが、しっかり口に出ていたらしく、つくしの考えは肯定されてしまった。

「ハァ!?預かってたものを自分宛のラブレターだと言い張ってたわけ?」

「あぁ。」

「あたしがどんな気持ちで書いて、下駄箱に入れたかあんたにわかる!?ドキドキしながら書いた生まれて初めてのラブレターだったのに。」

丁度いいいいわけがみつからずに、返さなかったと言うと決めた時点で覚悟していたが、いざつくしに軽蔑の眼差しで睨まれ、類へ宛たラブレターへの想いなど聞きたくもないというのに聞かされ、つくしに赦して貰い、これまで通り付き合い続ける事はおろか、赦して貰う事さえ叶わないのだろうと悟った。

その途端、司の中でなにかがキレた

「わかんねぇよ。じゃぁおまえは、俺がどんな気持ちで類宛のラブレターをとったかわかるか!?
何で俺じゃなく類だったんだ?何で…類のどこがいいんだよ!?あいつは……クソッ……なんで……なんで俺じゃねぇんだよ……」

最早やけくそだった。
だが、うまく言葉にはできなかったが全て司の不器用な本心であり、叫びだった。

「少なくともあの人はラブレターを盗んだりしない!
……やっぱりあんたは自己中で最低な道明寺よ!」

そう吐き捨てると、つくしは再び背を向けて走り去って行った。


今度こそ、もう追いかける気力など残されていなかった。ただ立っているだけがやっと。
どのみち今のつくしを説得出来るとは思えなかった。


***

「あいつはおまえの書いたラブレターをゴミ箱に捨てたような男だって、何で言わなかったのさ?」

いつの間にか類は司の背後に立っていた。
司は俯いて自嘲ぎみに小さく笑うと、振り替えって類を見た。

「そんなん知ったらあいつが益々傷つくだろ。それに、俺だってあいつ以外の女からのもらいもんなんて散々同じ事してたんだからよ、自分の事棚に置いて類の事言えねぇだろ。」

棚に置いて…こんな時でも司は司なんだと類は呆れつつも、そこは突っ込む事はせず、らしくもなく類は司の肩に腕を回しポンポンと肩を叩いた。

司…おまえホントバカだよ。




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2017/12/31 (Sun) 17:33 | REPLY |   

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2018/01/01 (Mon) 00:52 | REPLY |   

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