FC2ブログ

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Marry Me? ~48~ 

司を乗せたプライベートジェットは、予定通り定刻に日本に向けて発った。


機内でシャワーを浴び、身支度を整えた。

仕上げに長年愛用しているコロンをつけると、ふと、ある事を思い出す。

そういや…あいつこの匂い好きだったな。

手首を鼻に近づけ香りを感じる。

自分の香りだってのに、あいつが気に入ってくれてるって思い出しただけで、何だか特別な香りに思えてくるのは、やっぱ俺はあいつに対して相当いかれてんだよなって事か…

何着てくかな…

邸やプライベートマンション程ではないが、ジェットにも相当数の洋服が用意されてある。

あいつを掻っ攫うんだから動きやすい恰好か?

そしてそんな自分をイメージしてみる…

…ボツ。

対抗して俺もタキシードか?

そして再びそんな自分をイメージしてみる…

…ボツ。

やっぱスーツか?

そして三度そんな自分をイメージしてみる…

…うん。やっぱこれか!

まともじゃない事をこれからしようってんだから、誠実そうに見える格好で行くのがいいだろう。

この中で一番誠実そうに見える奴は…ん…これとこれにこれか!

仕立ての良い真っ白なワイシャツに黒のスーツ、ブルーのストライプ柄のネクタイをしめた。

支度を整え終わると、俺は片っ端からあいつらに連絡を試みた。

しかし、何度電話をかけても何度メールを送っても、誰一人として繋がらず返信もなかった。

一体どうなってんだよ…誰とも繋がんねぇとかってありか!?

クソッ!


*******

西田は5日ぶりに目覚めた司に、溜まっている業務をこなして貰いたかった。

しかし、とてもそんな事を口に出せる状態ではない。

鬼気迫るご様子。まぁ、わからなくもありません…。

長年の記憶喪失から漸く目覚めてみれば、愛した女性は結婚が迫っていた。

抱き枕をギュッと抱きしめられ、鳴らないスマートフォンをじっと見つめ続ける司様に、とてもではありませんが頼めませんね…ハァー。

西田は司を余所に、これからの段取りをつけていく。


*******

そして時は来た。

予定通り、プライベートジェットは羽田に着いた。

タラップを降り、専用ゲートで入国手続きを終えてヘリに乗り込んだ。

式場周辺にはヘリポートがないため、出来る限り最寄りのビルまで飛んで、そこからは車で向かう。

ビルに到着した時には既に10時48分だった。

あと少しだってのに、渋滞にはまってなかなか進まない…。

気持ちは焦る一方だ。ただ車が動き到着するのを待つだけの手持ちぶたさが余計に俺の焦りを助長させていく。

そんな俺に、西田が告げた信じられない報告

「司様、残念ですが…もう間に合いません。いかがなさいますか?」

時計は10時55分を示していた。俺は決断を迫られた。ビジネスの場面でも究極の選択を迫られた事は何度もあり、いつも乗り越えてきた。
しかし、この決断はこれまでのどの決断よりも容易く出来た。

なぜなら、今の俺にはこの決断しかねぇんだ。


「走る。」

俺は西田にそう告げると、抱き枕と西田を車内に残して駆け出した。

会場のチャペルの十字架は目の前に見えている。

俺はそこを目指して全速力で駆け抜けた。

ハァーハァーハァーハァー

こんなに走った事なんていつぶりか?




汗だくになりながら、息を荒くして俺は到着した。

扉の横には『太郎&つくし』のWelcomeボードがあった。

それを一睨みし、大きく深呼吸をした。

スー ハー


目の前のチャペルの扉を開くと…



目の前の光景に、頭が真っ白になった…

先程まで、これからの事を妄想して、期待に俺の心は暖かかった。

観るもの全てが輝いて見えていた。

なのに今、どんどんと俺の目の前からキラキラとした輝きが失われていく…

俺は1歩、又1歩と前に進むのがやっと…

そして、ついに俺の目の前から希望という名の光が失われた…

“絶望”

真っ暗になった目の前に俺は足元から崩れた…。



ゥゥッゥッゥグスッスッスッゥッゥ


静まり返ったチャペルの中に響くのは、俺の嗚咽のみ…。


間に合わなかった。

全てが終わってしまっていた。

誰もいないチャペルが俺にそう教えてくれた。


おまえは待っててくれッと思った。

バカだよな……。

俺はなんでこのタイミングでおまえを思い出したんだよ?

こんな事って…こんな事ってありかよ…

「牧野ぉー!!」




☆☆☆☆☆☆☆

やっとここまできましたぁ!
って、まだ終わってませんよ(笑)
伏線がまだ回収されてませんからね!

映画の卒業のように花嫁(つくし)をかっさらう事を決断していた司です。読者の皆様も、そうなる事を予想されていた方が多かったのかな?そういったコメント何件か頂いていたのですが、ご期待に添えられず……。
司なら似合う!イメージもある!ですが、かっさらうだと、イコール略奪ですからね。不幸になる人が出てくるラストは好みじゃないです。あ!悪役には不幸になってもらいたいと思っちゃいますがね(汗)

てなわけでして、ここで万が一悲鳴をあげられた方(いるかしら?)、この後太郎の秘密がみんなをハッピーに導いてくれますので、ラストまでお付き合い頂けたら幸いです。

きぃより。







スポンサーサイト

- 0 Comments

Leave a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。