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Love Letter ~前編~ 

このお話の司は、原作やドラマ版と基本同様の設定です。唯一違うのは赤札やイジメはしない男です。
その分マイルドな司になっているはずです。
どんな結末になるか、短編なので想像つきやすいかもしれませんが楽しみにして頂けたら嬉しいです。



***


「ヨッ!迎えに来てやったぞ。」

道明寺司!

迎え?つくしは、今わが身に起こっている事が理解できずにいた。
突如登校中の道で横づけされた場違いなリムジン。そして中から出てきたのは、つくしが最も関わり合いたくないと思っている男だった。
そしてその男とこれまで何の接点も関わりもなく過ごしてきたというのに、なぜ今目の前に現れたのか?疑問に思っている中で更に困惑させるお迎え宣言。
男の言っている事に全く心当たりもなかった。

「あのぉ、迎えとはどういう事でしょう?そんな事して頂くような間柄でもないですよね、あたしたち。」

「フッ…おまえバカか?」

鼻で笑いながらそう言うと、目の前に立つ男はパンツの後ろポケットから何やら封筒を取り出した。

「これ、なんだか分かるよな?」

ポケットから出て目の前に差し出された物に、つくしは我が目を疑った。

えっ…なんでこいつが持ってるの!?

わからないわけがない。
見間違えるはずがない。
なぜならそれは、生まれて初めて想いをしたためたラブレターであり、昨日想い人の下駄箱にこっそりと置いてきたのだ。

ちゃんと名前確認したはずなのに、まさかの置き間違い!?うそ、どうしよ。
…とにかくまず間違いですって言って取り返さなくちゃね。

途方に暮れて現実逃避してしまいたい気持ちを鼓舞し、ヨシ、と意気込んで口を開こうとしたところで、男はそれを妨げるように先に口を開いた。

「…………告…………やる」

???今「今…なんて…」

「だぁかぁらぁ、おまえの告白受けてやる!」

目の前の男のとんでもない告白の衝撃につくしは出鼻を挫かれてしまった。

「そんな…あたし」

なんて言ったらいいんだろう。間違えました!って全力で否定したいのに、この恐ろしいまでの威圧感は何?目つきが蛇みたいで怖いし…大体どんだけ上から目線なのよ!

つくしは視線を合わせないように俯いた。

すると、つくしの態度に不満そうな様子の男の口から又してもとんでもない言葉が飛び出して、つくしは恥ずかしさのあまり顔を赤らめた。

『ずっと好きでした。 牧野つくし』

「これ、おまえだろ?」

「あはっ…あはっ…そうみたいですね…あははは…」

最早笑うしかないよ。
もう間違えましたなんて言える雰囲気じゃないもん!
なんでよりにもよってこの男の下駄箱に間違えて入れちゃったのよあたしはっ!
そもそもなんで‘’花沢さんへ‘’ってちゃんと書かなかったのか。
今はそれが悔やまれますよ…ハハハ

「アハアハ笑って気味悪いぞ。いいか、たった今からおまえは俺の女で、俺はおまえの男だ。」

なにそれ俺の女!?おまえの男!?冗談じゃないんだけど。

「まぁ、いつまでも立ち話してらんねえな、乗れよ。」

一体どこへ連れて行く気なのだろうか?子供の頃から見ず知らずの人には付いて行ってはいけない。そうしつけられてきたが、知らないわけではないが、それは学校が同じだからであって、友達ではない以上他人も同然だ。

「い、いいです。」

絶対乗りたくない!その一心で乗車を拒み続けていると

「いいから乗れ!後ろつかえてんだろ。」

言われて視線を向けると、リムジンの後ろには何台もの車が道を塞がれクラクションを鳴らしていたのだ。
全力で乗車拒否する事に気をとられて、渋滞を引き起こしてる事に気がつかなかった。その状況にテンパってしまい、つくしは言われるがままに車に乗り込んだ。

向かい合って座ろうとすると、腕を引っ張られて道明寺の隣に腰をおとさせられた。

その後は隣で何やら楽し気に喋りかけてきてた様な気がするけれど、突然の出来事に気持ちも頭もついていけず、うわの空で空返事を打ち続けた。

司はそんなつくしの事などお見通しだった。
心ここにあらずな事も。自分の話を聞いてくれていない事も。それでも隣に座り、手を伸ばさずとも触れられる距離にいてくれる事が嬉しかった。
30分後、車はいつも通り正門を潜り、玄関前で静かに停車した。

全校生徒はリムジンの持ち主の登校を出迎える為に整列していた。
中からいつも通りその長い足を使って優雅に現れた男。ただ今日はいつもとは違った。男の後からエスコートされて一人の女生徒が現れた。誰もが憧れる完璧なエスコートに、学園中の女性が羨望のまなざしを向ける。…はずだった。

差し出された手を取るべきか、取らざるべきか…。こんな事初めてのつくしには気恥しく、その手を取る事を躊躇した。

「あの、自分で降りられます。」

男はつくしの言葉に耳を疑った。
自画自賛ではなく、俺にエスコートされたい女なんて山ほどいんだぞ。ついイラっとしてしまい、司はつくしの腕を掴んだ。

「バカヤロー、俺に恥かかすんじゃねえ。」

そう言うと、思い切り掴んだ腕を引っ張って車から強引に降ろした。
優雅とはかけ離れた荒わざだった。
それでも学園中の生徒がつくしの登場に驚いた。
その瞬間、その場にいる全ての視線がつくしに向けられた。
ギャラリーをぐるっと見渡すと、静まり返った中司は響き渡るように高らかに宣言した。

「いいか、この牧野つくしは今日から俺の女だ。」

その宣言に固唾を飲んで見つめていた生徒達はどよめいた。そう宣言した司の姿に女生徒達はうっとりと見惚れてしまい、なかにはつくしへの嫉妬心が芽生えた者達もいたが、司の特別になったつくしへ何かする事が命とりになる事はこの学園の人間なら誰もがわかる事で、遠巻きに二人を見つめ、早く別れる事を念じる事しか出来なかった。

誤解を解く前に、全校生徒に知られるなんて…
いたたまれたくなり、この場から早く逃げ出したい。
そのつくしの想いが通じたのか、男はつくしの手を引きながら歩き出した。

二人が去った後のエントランスは、この話題でもちきりになった。

「おい、誰だよ!?」

「え?あんな子いた?」

「二年の牧野つくしだよ。ほら、外部生であまりしゃべらない女。」

「何でそんな奴がよりにもよって道明寺さんの彼女になれんだよ?」

「知らないわよ!知ってたら私がなってるんだから!」




その後道明寺は、つくしを教室まで送り届けると

「いいか、くれぐれも浮気すんじゃねえぞ。したら相手の男…ぶっ殺す。」

脅しにしか聞こえない言葉を口にした。
コクコク
あまりにも物騒な言葉に、つくしは言い返す事を忘れてただ頷くことしか出来なかった。
だが男はそんなつくしを満足気に見つめると、ぽんぽんと頭を撫でて極上の笑みを浮かべた。

あ…この人笑えるんだ

先程までの高圧的な態度とうってかわり、つくしは一瞬その笑顔に不覚にもキュンと胸が高鳴ってしまった。

「んじゃ、ランチ一緒に食べっからな。」

道明寺の予想外にキレイな微笑みに一瞬気をとられた間に、いつの間にか手をヒラヒラさせながら、道明寺は廊下の向こうに小さくなっていた。

「あっ、ランチなんて」

それを見計らったかのように、どこから湧いて出たいのかつくしの周りをクラスメイトは勿論、知らない人までが取り囲んで質問攻めにした。
その質問のどれもがつくしの耳を右から左に抜けて行った。

そもそも勘違いのラブレターで“俺の女”とか“おまえの男”とか言われてもついていけなかった。
早く勘違いを訂正したい。車内ではその想いだけだったが、こうも早く全校生徒に知れ渡ると今更勘違いなどとは言い出せない状況になっていた。

どうしよう。

あっという間にお昼休みになり、宣言通りに道明寺はやって来た。
当然のようにカフェテラスへ行こうとする道明寺に、つくしはお弁当があるからと伝えた。

お弁当がある=カフェに行く必要がない=あたしは行かないよ

そういう意図だったのだが、理解する気がないのか伝わる事はなく、そのお弁当をひょいとつくしの手から取ると、

「これは俺が食うから」

そう言って、ニマニマと嬉しそうに笑いながらつくしを引きずってカフェに連れて行った。

外部生で庶民であるつくしにとって、初めて訪れたそこは本当に学食か!?と思うほどに高級感に溢れていて、メニューも値段の見間違いかと思うほどに高額な物ばかりだった。

「ランチにこんなにお金はかけられません。あたしのお弁当返して下さい。」

「俺が払うんだからいいんだよ。たかが3000円ぽっちでガタガタ言ってんなよ。」

「でもそれはあなたのご両親のお金です。あなたにとっては3000円はたかがなのかもしれませんが、あたしにとってはそれを稼ぐためには4時間働かなくてはいけません。」

つくしは司の手からお弁当を奪い取り、いつも食べている屋上へ向かった。
残された司は言葉が見つからなかった。
司にとっては本当にはした金だった。これまでお金に苦労した事などなく、降って湧くように底なしに使える物だと思っていた。

司は踵を返し走り出した。目的地は分かっている。つくしがランチを食べている場所はいつもあそこだから。
廊下を走り抜け、階段を駆け上がりドアを開けると、予想通りつくしはそこにいた。
大の字になって寝転び、空を仰ぎ見る彼女の隣に司も寝転んで見た。

司が隣に寝転んだというのに、つくしは微動だにせず仰向けになり瞳を閉じたままだ。

「おまえの時給って幾らなんだ?」

お坊ちゃんが何を聞くんだか……それを聞いてまだバカにしたいのか?つくしはそう思った。

「850円」

「それは妥当なのか?」

「まぁそうね。普通の高校生にはこれが相場よ。」


「そっか。……俺は俺の世界しか知らねぇし、お前の普通はわかんねぇ。
ただ、別にお前をバカにするつもりとかはなかった。

ランチもよ、あれが俺にとっては当たり前だから、むしろあれ以外考えた事なかった。
弁当はさ、自慢じゃねえけど食べてって持ってこられるなんて何度もあった。だが知らないやつが作ったもんなんて食う気しなくて全部断ってた。それがよ、おまえの弁当は食べてみたくなったんだ。」

「別にあんたの為に作ったものじゃないよ。」

「んな事分かってる。俺はおまえがどんなものを食ってんのか知りたかったんだよ。」

「お坊ちゃんの口には合わないと思うけど」

「お坊ちゃんとかキメェ事言ってんじゃねえ。つーか名前でよべよ。」

「えー、名前?じゃあ…道明寺?」

「何で苗字なんだよ。司ってよべ!」

「やだよ、あたしのことは牧野でいいから。」

「んん…わかった。じゃ、牧野って呼ぶ事にするわ。」

「うん。じゃ……道明寺。クス」

「じゃ、なんか食わせろよ。俺腹へってんだよ。」

「もー…じゃあ半分個ね。後でおなかが空いて泣いても知らないからね?」

「ガキじゃあるまいしそんなんで泣かねえよ。」

「これ何て言うんだ?」

「これは?」

道明寺には全てが初めてのおかずだったらしく、指を指して聞いては恐る恐る口にして、眉間にしわを寄せたり、目を輝かせておいしそうに喜んで食べてくれたり…

お弁当が半分になったり、全校生徒にジロジロ見られて居心地が悪いけれど、関わりたくないと思っていた数時間前には知らなかった、道明寺の初めて見る意外な姿につくしはちょっとずつ心が動かされていた。





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- 6 Comments

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2017/10/23 (Mon) 16:07 | REPLY |   

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2017/10/23 (Mon) 16:59 | REPLY |   

きぃ  

kac*。さん

こんばんは。
この話の司はマイルド仕様になってます。司の歩み寄ろうとする姿勢が伝わればつくしも気を許すかな?と思いこんな感じにしてみました。
この後もちろんキーマンは類なんですが、どう絡んでくるのか……ムフフフフ♥

2017/10/23 (Mon) 20:38 | REPLY |   

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2017/10/24 (Tue) 00:47 | REPLY |   

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2017/10/24 (Tue) 11:23 | REPLY |   

きぃ  

まり*・さん

こんにちは。
頂いたコメントに全て答えちゃうとネタバレになってしまうのでFC2のシステム上全て返信は公開になってしまうので答えられませんが、お話の中にパラパラパラっと種まきしてありますので、読んで頂ければまり*・さんならお気づきになると思います。

2017/10/24 (Tue) 14:39 | REPLY |   

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