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恋説 ~14~ 

俺はこいつを抱えて店を出ると、店の前に待たせていたタクシーにすぐさま乗り込んだ。
タクシーの運転手も酔い潰れた女を抱えて再び乗り込んできた俺に驚いた様子を見せたが、何も言わずに俺の伝えた場所に向って車を走らせた。

静かな車内で俺は手持ちぶたさから膝の上で眠っているこいつの寝顔を眺めていた。いつもはすっぴんみてぇな化粧だってのに、今日はまだパーティの名残が残る華やかだったアイメイク。……そう、“だった”なんだ。既にメイク直しでは済まないだろうレベルに崩れたその顔は、アイラインがにじみ、ファンデーションも鼻のあたりが剥げちまってるし、口紅もとれてこいつ本来の唇があらわれている。

「ヒデー顔だな。」

しかも酒くせー。そう思うのに、なんかかわいく見えちまうのは、松岡が言うように恋しちまったからってことなのか?

俺はこいつの頬に手を添え、口を半開きにして無防備に眠る牧野の唇に親指を這わせた。

するとそれに反応して牧野はんんーっと小さく息を漏らしながら顔をイヤイヤとでもするようにゆっくりとくねらせた。

なんだよこいつ…反則だろが。今までどこにこんな色気隠し持ってたんだよ。
キスしたい衝動にかられた俺は、牧野の顔をじーっくりと見つめながら吸い込まれるように顔を近づけ、あと一歩のところで胸ポケットにしまっているスマートフォンがブルブルと振動を始めた。
その振動でふと我に返り、今自分がしようとしていた事が途端に恥ずかしくなった。それまで牧野の頬に添えていた手で自らの口元を隠すように覆い、慌ててもう片方の手でスマートフォンを取り出した。

『新着メール1件』

差出人が登録していないところからで不審に思ったが、アドレスからやばいやつではないと判断してメールを開いた。
すると、差出人は先程逢った牧野のダチの松岡からで早速画像が添付されていた。

どれどれ…画面をスクロールして行くと、そこには見慣れた自分ではなく、俺自身見た事ない俺が映っていた。
俺、こんな顔できたのかよ…。

見れば見るほど自分らしくなく、照れくさくて恥ずかしくて画面を伏せ、でも又盗み見するように見て、恥ずかしくて伏せては又見るの繰り返し…。
あのダチこれも牧野に送ったのか?
牧野はこの写メを見たらどんな反応するんだろうな?

例え喜んでくれなくてもいい。
はずかしがってもいい。
でもよ、削除だけはすんじゃねぇぞ。

俺はこいつの頭を撫でながら、こいつに好かれたい。笑顔を向けてほしい。このままこいつをこの腕に閉じ込めておきたい。そう願っていた。


数十分後、タクシーは目的地に到着した。
人目を避けて地下駐車場に停車してもらうと、要人専用口から入ってエレベーターに乗り込み、俺は2時間近く前までいたこのフロアに戻って来た。
だが、あいつらと同じ部屋に泊まるなんて…出来るわけねぇ。
俺は押さえておいた隣のスウィートルームのキーを解除して奥の寝室に行き、キングサイズのベッドに優しくこいつをおろした。





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2017/09/15 (Fri) 18:51 | REPLY |   

きぃ  

スリー〇〇〇〇〇さん

こんにちは。
初恋同士の二人の設定です。恋をこじらせた二人が伝わってればいいのですが。
この酔っぱらったつくしをどうしようか?きいはムフムフ言いながら妄想を膨らませております。司とつくしがこの後どうするのかは…いい意味で予想を裏切る展開を書けたらと思います。
では、楽しみにして頂けたら嬉しいです。

2017/09/16 (Sat) 16:18 | REPLY |   

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