永遠に…ともに…。~前編~ 

このお話は、今朝朝ドラ見ててビビビッとイメージが降ってきたもので、ついつい筆が進んで書き始めております。
つかつくCPですが、悲しいお話になります。ハッピーエンドのつもりですが、それは人それぞれ感じ方も受け止め方も違いますから、私に言えるのは心の準備をしっかりして読んで下さい。読んだ後落ち込むかもしれませんが、その覚悟のある方だけお読みくださいね。



***

『道明寺財閥社長 道明寺司氏が本日お亡くなりになりました。』


まだ40歳という若さでこの世を去った男を多くの人間が嘆き悲しんだ。
高校生までの彼のままだったら、彼の死を嘆く者も、悲しんでくれる者も家族やごく親しい友人達以外いなかっただろう。
ロボットのように人の心がないと言われ続けていた彼は、ある一人の少女と出逢い、長い間ずっとOFFになっていた心のスイッチがONにされると瞬く間に恋に落ち、そして愛を知った。

ずっと続くと思っていた二人の関係は、経営が思わしくなくなった事で終止符が打たれたのだ。

彼が道明寺司である為につくしは身を引いた。
つくしの想いが手に取るようにわかるからこそ、彼はつくしが愛した道明寺司である為につくしの意思をくみとった。



そうして二人の別れから10年、彼は40歳という若さで病に倒れた。
病名は進行性の肺がんだった。
定期的に検診を受けていたにもかかわらず、見つかった時にはすでに手遅れだったのだ。
治療をしてもどの道余命は大して変わらないのならと、司は側近の秘書のみに病名を伝え、痛む体を痛み止めで必死に堪えて変わらず仕事をし続けた。

そしてあの日、なかなか起きてこない司に胸騒ぎをおぼえた秘書が起こしに寝室に入ると、司は既に亡くなっていたのだ。
まだぬくもりの残るその体を抱きしめて椿が泣き叫んでも、その目が開く事は二度となかった。
そして知らせを受けた類、総二郎、あきら、滋と桜子は突然の訃報に信じられない想いで性質の悪い冗談だと信じながら邸を訪れると、そこは既に悲しみに暮れていた。

司の遺体はまるで眠っているように安らかな表情をしていてとても美しかった。
そして、司の眠るベッド横のサイドボードにはまだ若かった頃に撮った写真が飾られていた。
間違いなく一番幸せだった頃だろう。なぜなら司の隣にはつくしが寄り添い満面の笑顔をこちらに向けているのだから。

司は誰にも看取られる事なくこの世を去った。

「司ね、その写真立て握りしめて亡くなってたのよ…。」

その言葉に、きっと誰にも看取られたくなかったのだろう…つくしをのぞいて。
その場にいた誰もがそう思った。


司が亡くなったことで明らかにされた彼の病名
亡くなるまで知らされなかった事にみんなが遣り切れない想いに押しつぶされそうになった。

まだまだこれからだっただろう。やりたいこともたくさんあったはずだ。
そう思うのに、司の表情はスッキリと晴れやかに見えた。まるで解き放たれたかのように。

人間は死ぬ時を選べない。
だからこそ、最期のその瞬間に後悔がないようにするには、どうしたらいいのだろう?それは一瞬一瞬を大切にして生き抜いたと胸を張れるかではないか。

きっと司は今、精一杯生き抜いたと胸を張っているからこんなにも晴れやかなのだろうとみんなが思った。
ただ、最期まで懸命に財閥の為に命を削った司の生き様を誇りに思うと同時に、なぜ頼ってくれなかったのか…それだけが許せなくて黙って逝ってしまった親友に二度とぶつけられない行き場のない怒りをどうやって浄化すればいいのか…遺された人間には想いを共有するしか出来なかった。



ニューヨークにいた楓は訃報を受け自家用ジェットに飛び乗り、急いで駆け付けた。
既に冷たくなってしまった息子との対面はたった一時間だけだった。

「一時間だけ二人にして頂戴。」

そう告げて憔悴しきった表情で楓は部屋にこもった。司と二人きりになったのはいつ以来だろう。あまりにも少ない息子との思い出。思い返されるのは、まだ幼かった司の笑い声と、母親である自分に向けてくれたまっすぐな眼差し。小さな手で懸命に自分を求めてくれた。とっても愛しかった…命に代えても愛しくて愛しくてかわいいわが子だった。
もっと傍にいてあげればよかった。もっと…もっと……

楓はあらん限りの力で今はひんやりと冷たくなってしまった司の体を抱きしめた。
今だけ。今だけだから。そう言い聞かせ、先だった息子の死を、一人の母親として嘆き悲しんだ。
きっちり一時間後に部屋から出てきた時には気丈にも仮面を貼り付けたのだろう…。財閥会長の顔に戻っていたが、痛々しさが周囲には手に取るようにわかった。

息子に先立たれたショックからどうなってしまうのかと周囲が心配する中、喪主の楓は葬儀を財閥の威信をかけて盛大に執り行なった。

斎場には彼の友人、多くの仕事関係の人間が日本のみならず世界中から弔問に訪れた。もちろん義理で訪れた者も中にはいるが、ほとんどの人間が彼を慕い、心から彼の死を悲しんで弔問に訪れていたのだ。



これから彼は多くの女性を魅了した美しい肉体から解き放たれるために火葬場へ向かう。
その最後の見送りの為、みんながその車を合掌で見送っている中、類は弔問客の中にぼわっと明るい光が見えた。なんだろう?その光が無性に気になりよく見ると、その光の先に懐かしい友人の姿を見つけたのだ。
亡き友人が生涯で唯一愛した女性…牧野つくしだった。

来てくれたのか…。二人がどういう経緯で別れを選んでのかも類は勿論知っていた。
そして司が死ぬまで愛し続けていた事も…。
最後にもう一度逢わせてあげたかった。

類は声をかけようとしたが、一瞬のうちにつくしは消え去ってしまっていた。

まるで最初からいなかったかのように…。




***

類はどうしてもつくしの事が気になって、次の休みにつくしの住所を調べて尋ねてみた。
そこは1LDKの分譲マンションで、つくしが司と別れた直後に自らローンを組んで購入したものだとわかった。
独身女性が単身用のマンションを購入するのは投資目的もあるかもしれないが、類はつくしが独身を貫くつもりで購入したのだろうと考えた。

ピンポーン。

エントランスで目的の部屋のインターフォンを鳴らすと、そこから聞こえたのは男の声で

「えっ!あっ…今開けます!」

と、類の来訪に驚き慌てている様子が声だけでもよく分かった。
類は声の主が進だろうと察しをつけてエレベータに乗り込み部屋の前でインターフォンを鳴らすと、予想通りあの頃より歳を重ねた進が出迎えてくれた。

「類さん、お久しぶりです。」

「牧野いる?」

「えっ!……ご存じでいらしたんじゃないんですか?」

「ん?どういう事?」

「姉は……亡くなりました。」





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10 Comments

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2017/09/05 (Tue) 11:45 | REPLY |   

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2017/09/05 (Tue) 13:42 | REPLY |   

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2017/09/05 (Tue) 16:22 | REPLY |   

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2017/09/05 (Tue) 21:33 | REPLY |   

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2017/09/05 (Tue) 22:23 | REPLY |   

きぃ  

Re: タイトルなし

kac〇〇さん


泣かせてしまってすみません。
そうですよね。死ネタは辛いですよね。それでもいつも読んで下さるから大好きです♡

朝ドラは、一回は15分だけでも纏めて観るのは意外と大変ですもんね。

2017/09/06 (Wed) 01:20 | REPLY |   

きぃ  

スリー〇〇〇〇〇さん

確かに子供はおなかを痛めて産んだ自分の分身みたいなもので、特別ですからね。
子供が2番目に好きだという歌詞の曲がありましたが、出産前は素敵な歌詞だと思いましたが、いざ出産すると2番目なわけあるか?なんて想ってしまいました。やっぱり特別なオンリーワンですよね。
今回は夢ではなくて現実です。予想を裏切るラストかもしれませんが、楽しんで頂けたら嬉しいです。

2017/09/06 (Wed) 01:29 | REPLY |   

きぃ  

まり〇んさん

お久しぶりです。お元気でしたか?
40歳は若過ぎますよね。私もおじいちゃんになってからにしようかと迷いましたが、それまでずっと二人を孤独でいさせ続けるのも不憫に思ったのと、ラストの展開の関係上40歳がギリギリラインでした。
最後までドキドキして頂けたら嬉しいです。

2017/09/06 (Wed) 01:33 | REPLY |   

きぃ  

こんばんは!

じゅん〇さん

他の人と色々あると、短編では回収出来なくなるのでお互いにシングルのまま旅だたせました。
中編は…ごめんなさい。でも番外編を後編の追記でつける予定ですのでそちらを楽しんで頂けたら嬉しいです。
本当のラストはその追記にあるので、ぜーったいお見逃しなく!!

2017/09/06 (Wed) 01:37 | REPLY |   

きぃ  

kera〇〇さん

ホントそうですよね。愛する人と一緒に逝けたら幸せでしょうね。
司とつくしの魂の行方…どうなるのか楽しみにしていて下さい。

2017/09/06 (Wed) 01:41 | REPLY |   

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