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Kiss cam 

俺はウキウキ気分で愛しい女にCALLする。

RRR…

私は今夜の予定の為、大学が終わると慌てて帰宅してきた。

すると、テーブルの上でスマホが鳴りだして、誰かからの着信を伝えている。

“着信 司”

もー!こんな時に!!
この男は昼夜問わず掛けてくる。
相手の都合なんてお構いなしなのだ。
東京とニューヨークの遠距離恋愛をしていた頃なんて、毎日のように寝不足だった。
東京へ戻って来てからも忙しい彼の都合で掛けてくる。それで何度喧嘩をしたことか…
でも、あたしだってあいつがどれだけ忙しいスケジュールの合間をぬってかけてくれているかは解っている。だから、授業中とバイト中以外は出るように頑張っているのだ。
それに…あたしだって本音は声聞きたいし…ねッ
でも、これは絶対口が裂けても言わないんだから!

「はい。どうしたの?」

「なぁ?今夜会食なくなったから久々にデートしようぜ!」

こんな時間にかかってくるなど滅多にないので何事かと思ったら、なんてタイミングが悪いんだろう…

「ん…無理。」

マジかよ…
平日の夜に休みがとれるなんてなかなかねぇんだぞ!しかも日本に帰国してから初だ!!

「バイトか?」

「ううん。違うよー。進が野球のチケット当ててね、一緒に見に行くのよ。」

あたしはバッグに荷物を詰め込んで準備をしながら電話に応答していた。
だから、後先考えずに素直に答えてしまっていたのだ…

「弟とかよ。なら俺も行く!」

………。

「ゲッ!」

「今ゲッて言ったか?なんだよその反応は?」

俺、仮にもお前の彼氏だろ?

「えぇっとね…そのね…」

あたしが言い淀んでいると、背後でピンポーン!ってチャイムの音がして進がドアを開けた。

おじゃましまーす♪

あ!類さん!もう来たんですか!?

背後から聞こえる呑気な会話を聞きながら、私の背筋を嫌な汗が伝った。

「なぁ?俺の聞き間違いか?今後ろで類って聞こえたぞ?」

「う…うん。実は…」

なんて答えようかと悩んでいると、後ろからヒョイと携帯を取り上げられた。

「え!?」

気づいた時には遅かった。既に類が電話の向こうの司に向かって話しかけてしまったのだ。

「もしもーし、司?」

携帯を持つ手に力が入ったのが自分でもわかる。

「何でおまえが牧野にケータイにでんだよ?何で牧野んちにいんだ?」

相変わらず解りやすいな司は…ㇰㇰㇰ

「司の声が聞こえたし、牧野困ってるみたいだったからさ。
何で牧野んちにいるのかは、これから牧野と進と野球観に行く約束してるからだよ♪」

「おまえも行くのかよ?」

さっきもドスの効いた声だと思ったけどさ、さっきよりも効かせちゃってさ…

「だからそうだってば。しつこいなー。」

「つくしに代われ!」

司の威嚇も類には通じない。

「え~!あんま牧野いじめないでよ?」

言うと類はつくしに携帯電話を返した。

え!このタイミングで!?

「ハハッ…まぁ、そんなわけだから3人で行ってくるよ。」

やばい…自分でも顔が引きつってるのがわかる…

「行く」

「え?」

「俺も行くぞ」

「もう1枚チケット余ってるからいいけど、場所東○ドームじゃなくて西△ドームだよ?
18時開始だし間に合わないよ?」

「ぜってー行くからな!」

この男は、一度言い出したら聞かない男だ…

「もー!!わかったわよ。でも、あたしたちは先に行ってるからね!」

そう言うとつくしはブチッと電話を切ってしまった。

俺は大慌てでジャケットを羽織り、電話を横で聞いていたのだろう有能な秘書西田は、執務室を掛け出た俺に、何食わぬ顔で追随してきた。

夕方のこの時間は、どこもかしこも道路が渋滞している。
時間が勿体ないという西田に、無理やり車の中でも仕事をさせられながら、漸く着いた時には既に7時を過ぎていた。

つくしに電話しても出ねぇ。
類にかけても出ねぇ。
最後に進に掛けると繋がった!
すると申し訳なさそうに

「ねぇちゃんと類さんは今トイレに…俺が今チケット持って入口まで行きますね!」

「おい!」

言いかけた俺を遮るように弟は電話を切った。

二人でトイレだぁ!?
これじゃあまるであいつらがデートしてるみてぇじゃねぇかよ。

イライラしだして数分。

ゼーゼー息を切らした弟が現れた。

あいつらの席は3塁側席だった。
類がいるんだし、もっといい席取れただろ?なんて思うも、俺の想いを察知したのか

「くじ引きで当たったチケットなんで…こんな一般席ですみません。」

申し訳なさそうにペコペコする弟。
そんな姿に頭が冷えた。
確かに類なら席を代えようなんて言わねえだろうな…。

「いや、気にすんな。」

俺はスラックスのポケットに手を突っ込みながら歩き出した。
そして、ドームに入ってあいつらが居る席へ向かって歩いていると、丁度5回裏の攻撃が終わり6回が始まるまでの合間のイベントが始まったようだ。

みんな大型スクリーンに視線を走らせる。

その途端…キャー!とかイヤー!とか色んな悲鳴が会場中から沸き起こった。

何事かと歩きながら大型スクリーンに二人も視線を向けると、そこに映っていたのは

「つくし…」「ねぇちゃん!!」

「「類(さん)」」

慌ててる様子のつくしの横で、どう見ても彼氏風情の類がニコニコ笑っていた。

「クソッ!」

「あ!道明寺さん!!」

司はカメラを向けられている二人めがけて走った。
急な階段もものともせず、何段も飛び越えて、飛び越えて、

なぜならそのカメラはKiss camと呼ばれるカメラだったから。
普段野球観戦などしない司でもそのカメラの事は知っている。
Kiss camとは、試合の合間に行われるイベントで、カメラに写しだされた二人はKissをしなければならないのだ。どうやら二人は恋人同士だとカメラマンに勘違いをされたのだろう。

「ざけんじゃねーぞ!」

その間もなかなかしない二人に焦れた観客からとうとう沸き起こった「キス!キス!キス!」コール。


「俺はしてもいいけど?」

つくしの顔前10cmの所まで顔を近づけた類が呟いた。

「え…ぇ…無理だよ…」

後ずさりたくとも椅子に座っているため上半身のみ後方に必死に反らすと、グイ。

その瞬間つくしは類の反対側から急に肩を抱き寄せられて無理やりキスされた!!

ッ!!!

突然の暴挙に驚いたつくしだったが、すぐに誰かわかった。

その匂いも

そのぬくもりも

その唇も

あいつだったから…


重なる二人の視線

二人はお互い見つめあったままに唇を離した

しかしその視線はお互いに決して甘いものではなく、むしろ怒ってるようだった。
ただ、にらみ合っているわけではない。お互い瞳の奥は拗ねているだけのようだったから…


「キョトキョトしてんじゃねぇよ」

ペシッ!っと司はつくしのおでこにでこぴんをおみまいする。

「アいたぁー」

っと、手加減されたでこピンは大して痛くはなかったのに、ついつい条件反射でおでこに手を当て口に出していた。
唇を尖らせて怒っているアピールを試みる。

「遅いよ!」

最早カップルのじゃれあいとしか思えない光景が大型スクリーンに映し出され続けているというのに、当の二人は二人の世界に入っている為その事を失念していた。

カメラマンは、とても絵になるイケメンカップルを見つけてkissを狙ったというのに、突如乱入した別の超絶イケメンの略奪kissによって、滅多に撮れないものが撮れる気がしてカメラマンとしての血が滾った。
本来なら時間的にも二組目へと切り替えなければならないというのに、その後もその男女を撮影し続けた。


突然起こった出来事に、球場中も静まり返り二人を見つめた。

二股か?

次第にざわつきだした球場内。

突如乱入した男のアップ映像に、みんなが誰なのか次第に気が付いたからだ。

隠しきれない男のオーラ

「あれ道明寺つかさじゃない?」

「うそ!?本物?」

「ちょっと。あっちは花沢類よ!!」

二人の正体に気が付いた球場内では黄色い歓声やら悲鳴やらが聞こえだした。

漸く自分たちの世界に浸りこんでいた事に気づいた二人。

つくしは顔を茹蛸のように赤らめて、被っていたCAPを目深に被り直した。

「あーあ、司が来ちゃうからばれちゃったじゃん。」

こんな状況になっても呑気にこの状況を楽しんでるかのような類。

司は先程の光景を思い出してこめかみにぴきぴきと青筋が浮かんだ。

「テメッ、あのままつくしとキスするつもりだったのかよ?」

「ん…俺はしてもよかったんだけどね?」

「なんだと!こいつの唇は俺のもんだ!俺以外の奴がしようもんならぶっ殺してやる!!」

「もう。何勝手なこと言っちゃってんのよ!
とにかく逃げるよ!!」


球場中が見つめる中、ヒューとかキャーとかいった声援に包まれながら二人は嵐のように去った。

類と進を置いて…

「あーあ。これで明日の一面は決まりだね(笑)」


~fin~



☆☆☆☆☆☆☆

みなさん、先日はお騒がせ致しました。
コメント頂いた皆様には時間がかかり申し訳ありませんでしたが、返信全て出来たと思います。
たくさんのコメントありがとうございました。
そしてナイスもありがとうございました。

Marry Me?を更新したかったのですが、申し訳ありませんが今回は短編です。

さて、kiss camってご存知でしたか?
私はこの春休みに数年ぶりに野球観戦に行って知りました。
こんなイベントがあるのかぁ!!って衝撃でしたね。
これってどこの球場でもやっているんでしょうか?ご存知の方がいらしたら教えて頂けたら嬉しいです。
それから、ビールの売り子さんをみてつくしにピッタリなんじゃないかとひらめきました!
短編か、長編でのつくしのバイト先として登場させたいなと思います。


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