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王子様は旦那様 ~1~ 

あれから3年後、類君は約束通り私のバースデーパーティーに出席するため帰国した。



この3年、頑なに彼は一度も帰国しなかった。
それは私に会わないためだって思う…
約束の日に、胸を張って再会する為に
だって…私も同じ気持ちだったから…




遠く離れていても、彼の活躍は耳に入ってきた。
それが私の支えであって頑張る元気の源だったの。



私も一時も無駄にしない為に精一杯頑張った。
これまで通り、語学、マナー、茶道、華道、ヴァイオリン、ピアノのお稽古に加えて乗馬を習い始めた。
それから類君と約束した通り、もっと広い世界を見るためにママがやっている財団のお手伝いや、学校の長期休暇の時はニューヨークのおじい様とおばあ様のお邸へ泊りに行ったり、パパの出張について海外を周ったりもした。
そこから、世界中にたくさんのお友達が出来た。同年代は勿論だけど、小さな子供もおじい様やおばあ様位の年齢の方も、みんな私にたくさんの刺激を与えて下さる素敵な方たちで、ここに類君がいたらって何度も思ったよ。いつか、類君に紹介したいな…。



今ならわかる。あの時もっと広い世界をみておいでって言った類君の言葉が…
そして、今は前よりもっと胸を張ってはっきりと言えるよ。




私はやっぱり類君が好き



パーティー会場に類君が現れた瞬間から、私は類君を目で追ってた。
あの頃より少し痩せたね。それに……やつれたみたい。
やっぱり噂通り頑張ってたんだね。




俺はパーティ会場に入った瞬間、すぐに君を見つけたよ。
シャーベットイエローの淡いオフショルダーのシフォンドレスを着て、シミ一つない白くきれいな素肌も、ほっそりとした脚も、以前は目立たなかった胸元も膨らみをおび、三年前はまだ子供だと思っていたのに、さなぎが孵化して美しい蝶になったように見違えるほど美しい女性の姿になっていた。




おまえがパーティーの主役なんだから当然だけど、大勢の招待客からひっきりなしに囲まれて挨拶を受けている姿に、俺は胸が苦しくなった。
他の男と楽しそうに談笑して、君の笑顔を向けられてる男たちに嫉妬したんだ。



俺は、おまえの視界に入りたくてずっと目で追った。



時折交わる視線と視線
重なる度に微笑みあい、身体は離れていてもお互いの存在を確認しあえた




やがてなのかが一通り挨拶を終えるのを見計らい、類が漸くやってきた。




「ただいま」

「おかえりなさい」


話したいことは山のようにあるのに、何から話せばいいのやら…


「ちょっと二人だけになれるところで話そうか」



そう言うと類は、なのかの手を引いて三年前の思い出の場所に連れ出した。



会場の外は夜風がひんやりと冷たく、肩が露わになっているなのかを震えさせた。
そんななのかに、類はさりげなく着ていたタキシードのジャケットを脱ぐと羽織らせた。



そこからはほんのりと類のぬくもりと、幼い頃から大好きだった彼の柑橘系の香水が鼻腔をくすぐり、無意識にキュッとジャケットを握りしめた。



「きれいになったね」



なのかはその言葉に頬を赤らめた。
そんななのかの仕草に、懐かしさがこみ上げてきて類は微笑んだ。




「フフッ…ありがとう」

「この三年間、どうだった?」

「うん。私なりに精一杯過ごしたつもり。
類君もでしょ?」

「精一杯過ごしたっていう意味では俺も一緒かな。」

「そっかー。やっぱりね。日本にいても類君の活躍は聞こえてきたよー。さっすが類君だよね!!へへッ」

事実、なのかは類の活躍が誇らしかった。ただ、妻でもなければ恋人ですらない自分がおおっぴらに自慢できるわけもなく、こっそりと類の載った雑誌の切り抜きを収集していた。それがこの三年間の密かな楽しみだったのだ。

そんな事を思い出して、一人クスクスニマニマ百面相をしていると、類がなのかの瞳を覗き込んだ。そのきれいなビー玉の瞳にはなのかだけを映して真剣な表情で聞いてきた。




「俺がいなくなってどうだった?」

「どうって…」

「俺、おまえと離れても平気だって想ってたけど全然平気じゃなかった。

「え!?」


どういうこと…?



「参ったよ。一日一日、日が経てばその分だけこの胸の痛みは和らいで行くんだろうと想ってた。けど、全然違った。その分だけおまえが恋しくなった。だったら仕事が忙しければ気にしてられなくなるだろうと思って、おまえを考えなくて済む位抱え込んで我武者羅に仕事してたらさ、身体壊して…その繰り返しで。もう限界だった。」

類の悲痛な表情がなのかの胸をきゅっと締め付けた


「身体…壊したの!?もう大丈夫なの?」



泣きそうな顔して心配してくれるなのか…


「俺、おまえの方が俺が傍にいないとダメなんだと想ってたけどさ、俺の方がおまえが傍にいないとダメになってた。」


二人の間に流れる無言の静寂
二人はそれぞれに会えなかった三年間を想った





「結婚しよう」

「る…い…くん」

驚いているなのかを俺はギュッと抱きしめた。

そんな顔、他の誰にも見せたくなくて、まるで宝物を隠すように胸に閉じ込めた。



「返事は?」

「私でいいの?」

「だから言ったろ?おまえじゃなきゃダメだって!」

「…はい。」




そんな幸せいっぱいな二人の様子を柱の陰から見つめていた一組の夫婦がいた。
燃え上がるマグマは沸騰寸前で、それが今、彼のプロポーズの言葉に爆発した。



「おめぇら一体どういう事だ!?」






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