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Marry Me? ~51~ (完) 

私はウェディングドレスの裾を掴んで道明寺がいるチャペルへ急いだ。
漸く到着し、ドアを開けると、そこには泣き崩れている道明寺がいた。
とても道明寺司とは思えないその姿につくしは驚いた。

何で泣いてんのよ?

「道明寺ぃ」


自分の名前を呼ぶ声に、俺は思わず顔を上げた。
しかし、聞こえるはずのない声に幻聴かと再度俯きかけたその時、

「道明寺司!」

今度ははっきりと聞こえた。あいつだ…

振り返ると、大きな瞳に大粒の涙を浮かべた牧野が立っていた。

夢でみたよりもすげー綺麗な花嫁姿の牧野…


「おまえ…幸せか?」

「幸せだよ」

そう返した牧野の笑顔は本当に幸せそうに輝いていた。

ついさっき結婚したばかりのやつにこんな質問、愚問だな…

これ以上この場には留まりたくなくて立ち上がった俺に、見計らったかのように牧野が話しかけてきた。


「あの日あんたは、あんたの幸せは過去にあるって言ったけど、私は今のあんたにも幸せになって欲しい。」


ひでぇな…おまえなしに幸せになんてなれるわけねえよ。

そう口に出してしまいそうになる。

おまえ、マジで幸せなのか?結婚相手はゲイなんだろ?

相手の奴にも自分にも腹立たしくて行き場のない怒りを抑えるため、目を閉じてこぶしを握り締めた。




「私ね、結婚取りやめたのよ。」


!!!司は驚いて閉じていた目を見開いた。


つくしは司の驚きようがおかしかった。


「クスクス…ちゃんと聞いてた?」



「マジか1?マジなのか!?」

「フフッ…だから…私があんたを幸せにしてあげる!!」


その瞬間、司はギュッと思い切りつくしを抱きしめた。


「望むところだ♡
もう、ぜってー離さねえからな」

失ったと想った

もう手にすることは出来ないのだと言い聞かせた

それが今…やっと手に入った。


「うん。もう離さないで…」



お互いに相手を確かめ合うようにぎゅーっときつく抱きしめ、深く唇を求め合った。どれくらいの間そうしていたのだろう…
やがて力を緩めた司がポツリポツリと話しだしだ。


「なぁ、おまえの事忘れて悪かった。」

「うん。」

「酷え事言って傷つけて悪かった。」

「うん。」

「ずっと好きでいてくれてありがとな。」

「うん。」

「結婚してくれるか?」

「うん。」



どちらからともなく体を離し、お互いに見つめ合った。

お互いの瞳に映るのは自らの姿。その中に映る自分に吸い込まれるように二人の唇は重なった。

先程とは違い、フレンチな…それは誓いのキス。








すると司は自身の小指に嵌めているピンキーリングを抜いた。

そして、それを右指でつまんでつくしの前に見せた。

が、それは土星ではなかった。

あれ?と、つくしが怪訝な表情をしたと同時、今度は左指も同じようにして見せた。

あれ?ふたつ?

そしてそれも又土星ではなかった。

「これな、ほら、これとこれをこうして重ねると土星になんだよ。」


すると、先程までは球体と緩やかなカーブを描いていた二つのリングは一つとなって、確かにそこに土星が存在していた。


「17年前、おまえとペアリングがしたくてオーダーしたんだ。

それが、出来上がった時には肝心のおまえを忘れてしまってた…。

婚約指輪オーダーすっから、それまで片方を嵌めててくれるか?」


しかし、ううん。と、つくしは首を横に振った。


「これでいい。これがいいよ。

これ以上の婚約指輪なんてないよ。」


…。なんて欲がねぇんだよ。

きっと他の女だったら俺が17年間ずっと嵌め続けたこの指輪よりも、デッケーダイヤの付いた新しい指輪を欲しがんだろうにな。

そんなつくしが可愛くて愛おしいと思えた。


「やっぱおまえは俺が惚れた唯一の女だな♡」


司はつくしの薬指に球体の指輪を嵌め、つくしは司の小指にカーブを描いた指輪を嵌めた。


17年越しに本来嵌まるべき所に嵌められた指輪…

それは、長い年月を経ても変わらぬ輝きをキラキラと誇っていた。






*******

司は太郎にどうしても聞きたいことがあった。

「なぜつくしとの結婚を止めたんだ?」

「彼女の親友の優紀さんに言われたんです。『もしも道明寺さんの記憶が戻ったら、必ずつくしを迎えに来ます。その時あなたはどうしますか?』って…。

俺は…彼女を引き留められないなって思いました。その時に答えは出てたんですね。」


「つくしさんが俺と結婚を決めた理由聞きましたか?」

「いや。」

「一生忘れられないし、忘れたくない愛している人がいる。結婚相手が俺だったら、そのままその人を想い続けていてもいですよね?って言われました。その相手ってあなただったんですね…。」

「あいつ、そんなこと…ありがとう。あんたが婚約者でよかったよ。」




その後司は、太郎とまことの為にメイプル東京での挙式と披露宴をプレゼントした。

しかし、二人は断った。本来ならゲイの結婚はメイプルでは断っていた。それを特例で挙げさせて貰ういわれが自分たちにはないというのが彼らの言い分だった。だから司はある提案をした。




「初めての結婚をあなたたちにして頂きたい。そして、これからは同性愛者の結婚も受け入れていきたいと思う。」


「それでしたら…よろしくお願いします。」



そこにはあの日親子の縁を切った両親も参列していた。

つくしはかつての婚約者の幸せそうな笑顔と、彼の隣で同じく微笑むまことの姿をみつめながらある考えが脳裏に浮かび怖くなった…。




「もしあの時破談にしてなかったら、二人の笑顔はなかったんだよね…」




司はそんなつくしの肩を抱き寄せた。


「バカか。そうだとしても俺がお前を奪ってやるつもりだったから、結局二人はこうして幸せになってたさ。」


「うん…。それにしてもさ、こんな素敵なお式ありがとうね。」


「おまえに礼を言われる筋合いねえよ。俺がしたかったんだからよ。」







*******


あれから5ヶ月後、司とつくしは晴れて夫婦となった。

そして、つくしのおなかの中には6ヶ月になる胎児が宿っている。

それはあの、再会した日の愛の交歓によって授かった命だ。



新婚旅行はつくしの夢だったハワイへ行き、のんびりとした休暇を過ごした。

夕暮れの、真っ赤な太陽が沈もうとする様を二人で眺めながら、この穏やかな時間に幸せを感じながら、愛を語りあった。




そして、二人は産まれてきた娘に“マリエ”と命名した。




マリエとは、ハワイ語で“穏やかな 静か”という意味がある。

これから先ずっと世間の注目を浴びながら生きていかなくてはならなくなるだろう娘に、心にいつも穏やかな気持ちを持って欲しくて名付けた。

そして、マリエはローマ字表記だと“MARIE”となり、マリーと発音される事が多い。

どこへ行っても娘がマリーと呼ばれ、誰からも親しまれ愛されるよう願いも込めて…。




~fin~




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