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あなたがいたら… ~3~ 

尊と椿、そしてつくしと望の4人が和やかにすごす一室に、不穏な空気を持ち込んだのは一本の電話だった。




RRR…




尊がその電話の受話器に耳を傾けると、途端に眉間にしわを寄せた。

そして、たった一言だけ言って電話を切った。




「作戦通りにしろ」







孫をかわいがるおじいちゃんの顔から一変して、その厳しい態度はまさに、道明寺総帥の顔になっていた。




そして、椿の横で望を抱くつくしの表情も又、尊同様強張っていた。




一体何が始まるというの?

椿は言い知れぬ不安を感じた。




そんな椿の不安を余所に、尊はつくしの方を向くと静かに告げた。




「つくし、司が来る。」




表情は強張ったまま、ゆっくりと頷いた。

尊の様子から、察しがついていた。




「さっきジェットに乗ったらしいから、まだ当分大丈夫だ。

牧野の家族にもさっき伝えたらしいから安心しろ。」




「そうですか。ありがとうございます。」




「まだあいつが来るまで時間はあるんだから、それまではゆったりしてろ。今から張り詰めてたらもたないぞ。」




「でも不安で…」




「安心しろ。おまえと望の事は俺が必ず護る。約束しただろ?」




本当に療養中なんだろうか?強く力強い言葉に、つくしは安心感を憶えた。

実際、尊は司ほどではないが、それでも人並み以上の運動神経を持っていた。

加えて巨大財閥の長である総帥の尊は、地位も権力も財力も、圧倒的にまだ親のすねをかじっている息子の司に勝っていた。

尊の保護化にいる限り、つくしと望は安全なのだ。

だからこそここにお世話になっているのだ。




「はい。よろしくお願いします。」







二人の会話が途切れるのを見計らい、椿は気になる事を質問しようとした。




「一体なぜつか」




その質問を言い切る前に尊は椿をきつく睨みつけた。

その迫力に体中に電流が走ったような感覚に襲われ、二の句が告げられずに固まってしまった。




そんな椿の様子を確認すると、尊はゆっくりと首を横に振った。




“今は聞くんじゃない!”椿には尊がそう言っているように感じられた。







椿の知らない所で何かが動いている




一体何を隠してるというの?







*******




その後、何事もなかったように三人でディナーを食べた。

つくしがNYへ来てからの暮らしぶりや、尊の療養の事、二人でよく散歩に行っていた事。そしてその散歩がデートと間違われて写真を撮られた事など日常のありふれた事なのに、ずっとそういう事とは無縁の生活を送ってきた尊にとっては毎日が新鮮で、刺激はないけど気の休まる居心地のいい時間だった。

そんな会話を楽しんでいるうちに、望を寝かしつける時間となり、つくしはいつも通り家族と暮らす敷地内にある別宅へと帰るため立ち上がった。




そんなつくしを尊は呼び止めた。




「つくし、俺がいいというまでは絶対に牧野の別宅から出てきては行けない。

いいか!俺が直接言うまではだぞ!!」




「はい。言いつけは守ります。」




「よし、しっかり戸締りするんだぞ。」




「フフッおやすみなさい。」




「おやすみ」




「つくしちゃん、おやすみなさい。」




「おねえさんも、おやすみなさい。」




つくしが部屋を出た瞬間、尊の表情は又、おじいちゃんの顔から道明寺総帥の顔に戻った。




「ここではなく書斎で話そう。」




そう言うと、尊は立ち上がって移動した。

椿は黙ってそのあとをついて行った。




そして、重厚な扉を開けて書斎に着くと、すでに先客が待っていた。




「お母さま!」








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