Category: あなたがいたら…  1/5

あなたがいたら ~23~

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『レイプした。レイプした。レイプした。レイプした。……etc.』尊の言葉とともに、日本で目にした司の痴態が楓の中で消化しきれず、リフレインしていた。「楓、大丈夫か?」焦点の定まらない妻からは同様が色濃く表れていた。心配し、尊は握ったままの左手はそのままに、右手で妻の腕を労わるように擦りながら呼び続けた。「大丈夫なわけ…お願いです。冗談だとおっしゃって。」妻の目は縋るようにジッと俺を見つめてきた。その瞳か...

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あなたがいたら ~22~

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予定外に日本へ行った為、楓のスケジュールはいつも以上に多忙を極めていた。JFK国際空港へ到着すると、その足で延期していた商談を二件纏め、その後は本社に戻り重要な会議の為に缶詰となり、帰宅は未明となった。邸へ戻ると執事長と、夜勤のメイド数名が出迎えてくれた。そのまま執事長は楓の後をついて歩き、自室へ着くまでの数分の間に、執事長は不在にしていた間の報告をし、きっちり部屋の前に到着すると同時、報告を終えて...

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あなたがいたら ~21~

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司は入院し、全身くまなく精密検査が行われたが、異常は何も見つからなかった。心配した薬物も杞憂に終わり、一先ず楓とタマと西田は安堵していた。だが、瞳には、喜びは勿論だが、かつて荒んでいた頃は見られた怒りも哀しみも感じられない。まるで死んだように……何も写っていないように見えた。楓はつい最近まではバカにしていた愛や恋という幻想のようなものが司を人間として生かしていたのだと改めて認めなくてはならないと感じ...

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あなたがいたら ~20~

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スウィートルームの名に恥じない一流の調度品が飾られ、多くの著名人をもてなしてきた美しかったはずの部屋は今、脱ぎ捨てられた女性物の衣服やブラジャー、ショーツまでがあちらこちらに散乱し、部屋のあちこちに何本もの酒瓶が倒れて地図を描いていた。それだけでもむせるようなキツイ臭気だというのに、たばこの匂いも合わさりこの部屋まるごとむせかえるようなシガールームと化していた。そして、声が聞こえる寝室に足を踏み入...

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あなたがいたら ~19~

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一ヶ月に渡る欧州での視察を終え、NYへ戻る為に空港へ向かう車内でそれは報告を受けた。これまで記憶にない程多くの司が起こした不祥事を、道明寺という圧倒的権力と財力で片付けてきた。それらは英徳での赤札なんていうくだらない遊びや、チンピラとの喧嘩だけだった。女性関係といったら牧野さんだけ。司なら他のどんな女性でも選べたでしょうに、牧野さん以外の女性にはめもくれなかった。それが、あの事件で牧野さんの記憶だけ...

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